懐かしい場所に、いちばん大切なものがある。
ある日、庭から発見された蛇の石の意味は?
家と家、人と人にまつわる不思議の縁、幼いときの記憶と「今」を結ぶ秘密の架け橋。長野まゆみの新境地を拓く新作長編小説!
姉妹はふたりともいい年頃だ。器量はそこそこで、化粧をすれば美人で通る。……神童だったわが家の兄が今のような風来坊になったのは、自転車で塾へ向かう途中で雷に撃たれたからだと云う人がある。運よくかすり傷だったものの、3日ほど寝こみ、そのあとで以前とは別人のような性格になった。でたらめな話だが、近所のうわさとはそんなものだ。――<本文より>
『となりの姉妹』2007年刊行(講談社刊行)。
装丁画は祖父江慎氏。こりに凝った装丁です。